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【連載】第16回:AI動画批判にはAI動画制作に触れる必要あり!~実際に作ってみて見えたこと~

毎月10日公開の連載記事として私(ジュテーム家康)が執筆していきます。
いまや、生活の中でAIが多くの場面で取り入れられており、ネットでは「AI生成の画像/動画」で溢れ、こうした現象に対する様々な意見が飛び交っています。人物の動きに不自然さを感じるという懐疑的な意見も目立ちます。
この記事では、私が実際にAI動画を制作し、その過程と生成物を通して得た気づきをもとに、「AI動画」について思うところを色々語っていきたいと思います。
※記事の最後にAI生成動画が視聴できるページ(FetishPono会員限定コンテンツ)のURLを記載しております。
結論から言えば、動画制作を行なっている立場の人間は、傍観するならともかく、AI動画を「批判する」「賞賛する」というように明確な立場で情報を発信する場合は、一度は自ら制作に取り組んでみることが不可欠だと私は考えます。なぜならば、インターネット上でAI生成動画を外から眺めているだけでは決して見えてこない、多くの発見が制作のプロセスには詰まっているからです。ある程度の経験を経たうえで意見を述べることが、公平な立場を保つ上でも重要だと考えています。
現時点(2025年6月10日現在)におけるAI生成動画の可能性と限界を、自らのAI動画を制作するという体験をしたことで、私はフェチ動画制作者としての優位性にも気づくことができました。AIにとって何が得意で、何が苦手なのかを知ることが、今後のフェチ動画制作活動の戦略にもつながると感じています。
先日、私はAIを活用して、数十秒のショート動画を2本制作しました。合計で1分にも満たない内容ですが、制作にはおよそ1時間半を要しました。使用したのは、商用利用も可能な汎用型のAI画像・動画生成ツール2種類です。
多くの人が抱きがちな「AIが自動で理想の動画を作ってくれる」というのは幻想で、現実はまったく異なります。プロンプト(AIへの指示文)が少しでも曖昧であれば、意図とはかけ離れた結果のものが生成されてしまいます。
たとえば「リクルートスーツ姿の黒髪の日本人女性たちが、雨の中でぬかるみを歩いている」といった指示を与えたとしても実は不十分で、現段階ではその通りの映像が生成されることはほぼありません。たとえ近いものが得られても、せいぜい10秒程度の短い動画生成が限界です。
しかし、AI画像生成のクオリティはここ数年で驚くほど進歩しています。プロンプトを詳細に調整すれば、写真と変わらないような非常に精度の高い画像を生成することが可能です。そのため、現時点で質の高いAI動画を作るには、まず高品質な静止画像を生成し、それをベースとして動画を生成するという手法が最も効果的だと分かりました。
つまり、AIを使った動画制作では「質の高い画像を用意して、どれだけ的確に指示(プロンプト)を出せるか」が鍵となります。これは単なる自動処理ではなく、明らかに「人の創造的判断」が求められる領域であることも実感しました。
私はAI技術の専門家ではありません。しかし、世の中にはプロンプトを巧みに操り、ほぼ意図通りの画像や動画を作り出しているクリエイターが確実に存在しています。そして今後(かなり近い将来)、AIの技術がさらに進化することにより、すべての「リアル(実写撮影をする)動画クリエイター」は「AIクリエイター」との競争という新たな局面をむかえることになるでしょう。
実は、私はすでに2023年5月、ファンティアで公開した撮影裏話の番外編記事「AIからの挑戦状」でこの問題に言及しています。
https://fantia.jp/posts/1943709
そこで述べた私の考えは、今も変わっていません。フェチ動画制作の分野においては、AIが生身の人間をモデルにした作品を超えることはおろか、肩を並べることさえ難しいと感じています。その理由は単に「感情がある・ない」という表層的な理由ではなく、人間の奥底にある本能的・感覚的な欲求に深く関わるものは、AIには汲み取ることができないからです。たとえ、近い将来にAGIが確立され、人間の感情を持っているかのように振る舞うことができたとしても、本当に感情を持つわけではないのでその点においては状況は変わらないと推察できます。
ゆえに、AIクリエイターがどれだけ巧みにツールを操ろうとも、人間をモデルにした作品だけが持つ「本物の輝き」は、これからも揺るぎないものとして存在し続けると確信しています。そして、それを一層強く実感できたのは、実際にAI動画を作ってみたからこそでした。正直、ある種の安堵さえ覚えました。
とはいえ、私はAIを頭ごなしに否定するわけではありません。AIは「道具」であり、敵ではないのです。もちろん、まだまだ不完全な部分も多い一方で、非常に優れた点もあります。
その力を見くびり続けると、将来的には人は職を失う危険すらあると感じています。1990年前後からのインターネットの登場とその進展時においては、それを利用する者と利用しない者との間の格差は、情報や収入の格差、または、機会喪失といったレベルでとどまったかもしれません。しかし、AIを利用する者と利用しない者の将来における格差は、単なる機会損失や収入減少にとどまらず、自分の職を失いかねないようなレベルであり、パラダイムシフトをもたらすと予測します。
量子コンピューターの開発が急速に進む今、今後2年以内に私たちが想像を超える技術的飛躍が訪れる可能性が多いにあると私は考えています。その中には、AI生成動画の著しい進化も含まれるでしょう。
AI動画とは、単なる機械的な「自動生成」ではなく、「AIという新しい筆を用いて描かれる人間による映像作品」とも言えるのです。従来の動画表現とは異なるアプローチであるため、受け入れにくさを感じる人もいるかもしれません。私自身、AI主体の動画制作に関心があるわけではありませんし、プロンプト操作の達人になるつもりもありません。ただし、AIをプロモーションなどの補助的な「道具」として活用することには賛成で取り入れていきたいです。
実際、私のX(旧Twitter)での最近の投稿をご覧いただければ分かるように、アバター動画など、AIを活用した投稿の割合を増やしています。テキストだけ、あるいはテキストに画像や動画を付けるだけという投稿作業と比べると一手間二手間かかるので、全ての投稿にAI動画を取り入れることはできませんが、時々投稿に取り入れる理由は、AIによる映像表現が持つ高い訴求力を強く実感しているからです。
とくに、新作紹介やウェブサイト更新情報の告知において、AIを使ったイメージ動画や解説動画をPVとして活用することで、テキストと静止画像だけの告知とは一線を画す「結果」が得られています。「結果」とは、単に「いいね」や「視聴回数」といった表面的に計測可能で一般的には投稿者の自己承認欲求を満たすであろう類のものではなく、もっと本質的で永続的な価値があり、実のある事象のことです。
特に、これまで私の作品やテーマ(ウェットやメッシーといったジャンル)に関心を示してこられなかった方々、つまり、潜在的に興味を持っていたけど自分の欲求に気が付いていなかった(あるいは、新たに覚醒した)可能性のある方々に対しては、高い訴求力を発揮してくれていると実感しているわけです。
【AI生成動画視聴ページ】
https://fetish.gdp22.com/20250609member/

「No Fetish! No Life!」
文責:ジュテーム家康

■フェティシュポノ理念(Mission statement)
https://fetish.gdp22.com/philosophy/

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