最終選考に臨む女子大生たちは、皆リクルートスーツに身を包んでいた。ケーブルテレビ会社であるこの企業では、新入女性社員にも入社一年目からレポーターとして地域を取材・報告することが求められる。
最終選考の内容は、ズバリ、屋外での「模擬レポート」。初夏の穏やかな陽気の中、とある海岸を舞台に行われる。実際にカメラが回るなか、緊張せずに、自分らしい表現ができるかが試される。
ライトグレーのリクルートスーツを着た絵里子は、才色兼備。大学のアナウンスサークルではマドンナ的な存在でもあり、表現力と語彙の豊富さには定評がある。そんな彼女は「模擬レポート」の場でもその実力をいかんなく発揮し、他の学生たちを圧倒していた。
面接官の目を引こうと、彼女はジャケットとパンプスを脱いで砂浜に置き、波打ち際へと軽やかに駆け寄る。薄手の白いブラウスの下には、うっすらとピンク色の下着のラインが浮かんでいる。彼女はタイトスカートが濡れないよう注意を払いながら、波の中へと足を踏み入れる。肌で海水の温度を感じ、それをリアルに伝えるのが狙いだった。
膝ほどの深さまで進んだところで、岸に向き直る。それ以上進めばスカートが濡れてしまうと判断したのだろう。笑顔でカメラに向かって感想を語りながら、ゆっくりと岸に戻りはじめる。
突然、運悪く高波が彼女の方へ押し寄せてきた。気づいた彼女は慌てて逃げようとするが、波はすぐに追いつき、腰から太ももにかけて強く打ちつける。バランスを崩した彼女は前のめりに倒れてしまい、そのまま波にのまれて全身が水中に沈んだ。
すぐに立ち上がるが、海水が目に入ったようで目を開けられない。びしょ濡れのまま呆然と立ち尽くす姿は、まるでドラマのワンシーンのようだ。髪からは海水が滴り、ブラウスは肌に張り付き、ピンクの下着の輪郭がはっきりと透けて見える。グレーのタイトスカートも、濡れて黒ずみはじめていた。
しばしの沈黙のあと、彼女は照れ笑いを浮かべながら、レポートを再開する。
「スーツを着たまま、全身海に入っちゃいました・・・。でも、思ったより寒くなくて、海水はけっこう温かいです。なんだか、このまま泳ぎたくなってきちゃいました・・・」
合格を目指して彼女のレポートは、まだまだ続いていく。