11月10日(金)から上映されている映画『正欲』の中で「水が好き」「水に濡れるのが好き」といったように水に対する執着心が表現されているシーンが多々あります。
映画のテーマは水にまつわることを切り口にしながら、もっと深いところにあるわけですが、「水に対する執着」を扱い、映画の中でもずぶ濡れになるシーンがあるという点でこの記事を読まれている方々の中で「ウェット(ずぶ濡れ)」好きの方は興味を持たれる映画だと思います。
とはいえ、「ウェット(ずぶ濡れ)好き」は言うまでもなく、映画『正欲』のメインテーマではなく、一つのモチーフであり、それを敷衍させて「マイノリティー(社会的少数者)」の苦悩を提示し他者理解の必要性について考えさせることが原作者や映画監督の意図であると推察できます。
何かとストレスのたまる現代社会において、心の奥底に人には言えない趣味・趣向などを持っている人は多いことと考えられます。そのことを、なかなかカミングアウトできないし、カミングアウトしたところで相手に理解してもらえないのではないかと思ってしまうものです。
しかし、様々な価値観がこの世の中には存在していることを理解し、自分を理解してもらいたいのであれば、まずは他人を理解する視野と寛容さを持つことの重要性にも気づかされます。特にマイノリティーへの理解が諸外国に比べて遅れているとされている今の日本社会にピンポイントなテーマの映画だと思います。